サンデルの正義論講義をめぐって─現代西洋社会正義理論と批判

  • サンデルの正義論講義をめぐって

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授)  最近、日本では、ハーバード大学教授マイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう──いまを生き延びるための哲学』(JUSTICE── What’s […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって2

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授)  西洋の伝統的な正義理解は、プラトンの『国家』(Politeia)以来、「各人にそれにふさわしいものを返すこと」といわれ、またユスチニアヌスの『法学提要』(Insti […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって3

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授)  サンデルによれば、今日の危機は、家族、地域、国家の連帯の喪失、またそこから引き出される成員間の名誉感の喪失という点に集中的に表れている、とされる。富の途方もない格差 […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4]新たな正義論の構築へ  さて、アリストテレスの目的論を検討する際、もっとも注意すべき点は、この目的自体がある種の重層性を帯びていることである。  アリストテレス […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4-2

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4-2]サンデルの問題点  もちろん、サンデルの見解も基本的にはこのような理解の線上にあるといっていいだろう。サンデルはこの共通善の政治の復権こそが、アメリカの正義 […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4-3

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4-3]意志の二重性、知性の二重性  こうしてサンデルの議論は、カント、ロールズの契約論的、主意主義論的正義論を批判して目的論的正義論を展開するのであるが、この目的 […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4-4

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4-4]アレントのアリストテレス理解の問題点  ハンナ・アレントは、『精神の生活』(The Life of The Mind[1971.Vol.1.2.U.S.A] […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4-5

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4-5]ロールズの善理解  こうした、アレントによるアリストテレスの曲解は、ロールズも共有していており、それがまたロールズの正義論に致命的問題性を生み出していると思 […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって4-6

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [4-6]アリストテレスの共同体(コイノーニア)論──共同体と個人  以上のような意志論、予感知(マンテイア)、直知(ヌース)の理解をふまえれば、アリストテレスにおい […]

  • サンデルの正義論講義をめぐって5

    ──現代西洋社会正義理論と批判荒木勝(岡山大学教授) [5]結びに替えて アリストテレス正義論の実践的意義  以上述べてきたことは、実践的にはどうような含意をもたらすだろうか。端的にいえば、我々が直面している難題は、この […]