配島庸二の『赤の書』と『青の書』

この12月、東京で二つの「本」に関連したアート展があり、仕事の合間をぬって覗いてきました。
「本のかたち’10『アーティスト ブック2』」(ギャラリー水・土・木)と「ブック・アート展」(ギャラリー砂翁)。
電子書籍の今後の可能性が喧伝される今年の終わりに、モノとしての本の魅力の再発見につながる素敵な本「物」の展覧会でした(ともに12月11日に終了)。
どちらもいわゆるグループ展で、複数の作家が作品を出品していました。多様な意匠をまといつつも、そのどれもが、本を読むという行為は、ただ文字を読むだけでなく、その形態や質感を含めて「全体」として読むという身体的体験であることに、改めて気づかせてくれる作品であったように思います。
「赤の書」と「青の書」
ここにある写真は、両展覧会に一点ずつ出品されていた配島庸二さんの作品(ともに巻物と折畳み本が合体したような形態)。『赤の書』(左、ギャラリー水・土・木)と『青の書』(右、ギャラリー砂翁)。対になった作品でありながら、隔たった場所に置かれているのが、まるで別々の人生を歩む双子の兄弟(兄妹あるいは姉弟)のようで面白く感じました(なぜか「安寿と厨子王」への連想も)。
遙か昔に記された伝統文書のようでもあり、遠い未来から漂ってきた未知の書物のようでもある。その書を繙いた私たちは、自分の知識や記憶と人類の知の来歴が重なり合った「読む」(あるいは「書く」)という、時空を超えた不思議でメタな体験に誘われていきます。


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“配島庸二の『赤の書』と『青の書』” への1件のコメント

  1. 庵頓亭主人のアバター
    庵頓亭主人

    蓜島さまの 素晴らしい芸術の世界が垣間見られるようで是非とも鑑賞したかった思いです。
    今回の作品は 特に色彩が素晴らしいようで 私が最近惹かれている日本古来(平安 ー> 鎌倉/室町)の芸術作品の匂い/香りが感じられるようですが、、、