夢をめぐる断想ー9


この前のある日(11月10日)、目覚め際にこんな夢を見た。
都心の古い二階建てアパート。下宿風。
カメラマンのK氏(男性)といっしょに、そこに住むNさん(女性)に写真アルバムを返しにくる。K氏と二人で2階の彼女の部屋に行く。しかし、彼女は不在。畳敷きの狭い部屋、ずいぶんと散らかっている。部屋のなかをごそごそと見てまわる。
鞄(いつも仕事で使っているショルダーバッグ)から出したはずの本(写真アルバム)が見当たらない。雑然とした部屋のゴチャゴチャしたモノたちのなかに紛れてしまったのだろうか。返そうと思ってどこかに置いたはずだ。
この2階(うえ)の部屋にないので、階下(した)に降りて、他の住人たちの部屋を探す。しかし、どこにもない。人が数人いて、K氏と何か話している。「いったい、どうしたんだ?、、、」
そうこうするうちに、Nさんが帰ってくる。アルバムを返しに来たんだと言うと、ニコッと微笑み少し嬉しそうな顏をする。しかし、全体は不機嫌な感じ。ぼくはまた上や下の階を探す。階段がなんかおかしい。昇降のエスカレーターが並ぶように、二つの広めの木の階段がくっついて並んでいる。変な気がした(ひとつあれば上り降りができるのだから、二つある意味があるのか?)。
ぼくはもう帰らなければならない。K氏はそのまま泊っていくようだ。ぼくもNさんも、なんだかイライラしてくる。
2階の散らかった部屋の本の山のなかから、埃をかぶった一冊のアルバムを見つけて、パラパラとめくりながら、興味深げにアルバムのなかを見る。子どものころの家族の写真などがある。しかし、これは探している本ではない。そんなものをゆっくりと見ている時間はない。終電の時間が迫っている。
「じゃ、ぼくは帰ります」と言って帰ろうとするが、今度はその本(アルバム)を入れてきた鞄(2種類ある、いつものバッグ)がない。部屋のどこかに置いたのだが、どこにも見つからない。
なんだか、おかしいな、おかしいな、、、と頭が変になりそう、、、。
と、ふと気づく。でも、そういえば、バッグは現実である自分の家に置いてきたのだ。夢のなかには、本当のところ、持ってきていない、のかもしれない? どうりで見つからないはずだ、現実の方にあるのだから、、、と、少しほっとする。
そこで、「8時ですよ」という妻の声がする(出勤のため、毎朝、ぼくは8時までには起きなければならない)。目が覚め、現実に帰還した。
以上、忘れないうちにと思い、その日の朝、座れたので、通勤する電車のなかでノートにこの夢を書き留めた。いうまでもなく、そのとき、ノートの入っていた仕事用のそのバッグはぼくの膝の上にあった。

4 thoughts on “夢をめぐる断想ー9

  • 2011年12月5日 at 10:51 PM
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    石井様
    漱石の『夢十夜』か はたまたフロイトの『夢判断』か、、、、
    なにか意味ありげな寝覚め前の不条理な「夢見」の なんとも言えない
    後味の不可解さ/奇妙さが直に伝わってきます。
    ところで私のほうは、ここのところさっぱり寝覚めの夢を見ませんし、
    「人生の夢」も疾うに潰えていますが、、、、
    ある意味 却って淋しいものです。
    庵頓亭主人

    Reply
  • 2011年12月8日 at 2:56 PM
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    庵頓亭ご主人
    さっそくのコメント、ありがとうございます。
    「見る夢」と「持つ夢」の違いを指摘したのは、たしか西郷信綱でした。
    スラヴォイ・ジジェクでしたっけ、人は現実から夢に逃避するんじゃない、夢から現実に逃避するのだといったのは。

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  • 2011年12月11日 at 3:53 AM
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    夢の中の出来事って、理屈は通らないのだけれど、奇妙な現実感をもって迫ってくることがあります。
    なんででしょうね?
    夢と実生活(現実)って、対比的なものではなく、おそらくその境界は曖昧なんでしょう。
    昨夜(12月10日夜)皆既月食でしたが早々と寝てしまい、夢の中で月食の夢を見ました。
    起きてネットを見たら、なんと同じ絵があってびっくり! スカイツリーの脇を月食が通り過ぎていく写真です。
    夢の中で見た月食と同じで、ちょっと気持ち悪かったなあ。

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  • 2011年12月12日 at 11:28 AM
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    おもしろいですね。
    ぼくは家の2階のベランダで月蝕を見ていました。寒いので、月が地球の影に覆われる間際の時間だけですが。
    そうと思い込んでいたのと違い、影がベタに真っ黒にならずに、ほんのりと赤みを帯びているようなスミアミ80%くらいの濃度で、神秘的な雰囲気が漂っていて感動しました。
    影の移動は瞳にゆっくりとまぶたが降りていく感じがあり、
    「眠り」とか「夢」の比喩的な現象のようでもありました。
    一瞬「古代人」に還ったような気がしました。

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