先日、出不精で「重い」というだけではなく、去年の暮れに患って以来の「痛い」腰をあげて(今はまたいくらか良くなってきてはいたが)、千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で開催中の『よみがえれ! シーボルトの日本博物館』展を見に行った。へぇー!と驚くことの多い、なかなかユニークな面白い企画展だった。
が、ここで書きたいのはそのことではない。歴博でシーボルト展を見たあと、腰痛を慮ってかなり省略しながら飛ばして見た同館の常設展示で、なんと越中富山の売薬展示物のなかに一袋の「反魂丹(はんごんたん)」を発見したのだ。反魂丹に関しては、美術家・蓜島庸二さんの6月の個展で巨大な衝立て看板を目にして以来興味をひかれていたので、この偶然は私にとってまさにひとつの出会いであり発見だった。うれしくなって、ガラスケース越しにスマホで写真を撮った。
反魂とは、(この薬を飲むと)死んだ人の魂も反転して身体に帰ってくる、つまり生き返るほどの劇的な効き目があるということらしい(よりくわしくは本サイトの蓜島さんのページをご覧いただきたい。http://cafe-nous.com/haijima/835 )。
歴博のあと、敷地内の「くらしの植物苑」でやっている朝顔の企画展示を見ることにした。暑さのきびしい午後、切り取って水に浸けているもの(写真)以外ほとんどの花はしぼんでしまっていたが、せっかく来たんだからという貧乏性的思いで園内をざっと見てまわってから、くたびれた足腰を鞭打つようにしてなんとか京成佐倉駅まで歩き着いた。途中、同地で90年やっているという老舗の落花生屋さんをみつけ、店内でピーナッツ・アイスを食べて涼みながら、身体を休めたのが救いになったのかもしれない。まさに「反魂」の思いのひとときであった。
ちなみに、「反魂丹」は胃腸薬としていまでも売っているらしい。