息を吸い、息を吐く・・・。
摂り入れた空気/食物は、一部を、エネルギーとして熱に変え、
命を養い、そして、エネルギーにならなかったその他
と、ともに、体外に、宇宙に放散されるーー廃棄。
そして地球の何らかのリサイクル・システムに乗り、
それもやがて ”死”という究極の・・・。
それにしても石器時代の貝塚に始まり、人間は、
なんと膨大な、しかも “厄介な” 廃棄物を、
自分たちの環境に抱え込んでしまったのだろう。
いまや一基の貝塚であるチキュウ(の、このブンメイ)は、もう満杯です。
1/グーテンベルク期 Roppongi 舟形遺構群(ギャラリーからテラスへ)
•遺伝子の舟塚:蜜蠟、炭書、麻縄、岩絵の具ほか
•知の貝塚 :蜜蠟、炭書、麻縄、岩絵の具ほか •文明の貝塚/方形の舟である水棺FUKUSHIMA:蜜蠟、炭書、試験管、活字、精製水、ホウ酸ほか •グーテンベルク炭書群:炭書、麻縄、蜜蠟、試験管、活字、塩ほか 脳髄Aから脳髄Bへ、さらにC・D・E・・・へと、そしてまた、男aから女aへ、女aから全ての人間 ・・・へと、その爆発的な知の熱量を誇って来た、グーテンベルク文明の炉心としての「本」、とその流通を支えて来た、まさにインテリジェント・ヴィヒクル(舟というならvesselか)、にして「遺伝子の舟」の舟形遺構群。 |
2/一個の突起物である文明の貝塚
•蜜蠟、試験管、活字、紙筒ほか
全ての自然(もちろん人間も)、全ての文明、がその根底に具える、廃棄という情報、と、一方、その廃墟からの生命的再生、を一つの表現としてクロスさせるための試み、即ち本を炭に焼く、蓜島庸二「グーテンベルク炭書/文明の貝塚」展は、まず文明の象徴として一個の突起型の貝塚を。 |
3/文明の貝塚であるグーテンベルク聖婚碑
•父型:蜜蠟、活字、試験管、紙筒ほか
•母型:蜜蠟、活字、試験管、紙筒ほか 活版印刷によって成った本の、その成果を、羽ペンではなく、活字という「父型と母型の驚くべき結合と、それらの関係と調和によるもの・・・」(グーテンベルク『カトリコン』のコロフォンに)とし、さらに、硬い金属と軟らかい金属との、ほとんど錬金術的聖婚譚に秘める、この多産/量産的な溶融術、への限りないオマージュ。 |
4/遺伝子の舟塚[父型]、5/遺伝子の舟塚[母型]
•父型:石灰、蜜蠟、炭書、麻縄、岩絵の具ほか
•母型:石灰、蜜蠟、炭書、麻縄、岩絵の具ほか 段ボールの空き箱を使って、蜜蠟を流すための舟形の母型をつくり・・・一方、この度は例によって本を炭に焼いた『グーテンベルク炭書』のフラジャイルな頁のかけらを、さらに丹念に砕き書籍の炭粉を、ではなく極微の炭粉と化した電子書籍ならぬ原子書籍ーーそう、「三千世界極微粒原子書籍」、は、今や一種のモナドと化して、知の宇宙に偏在することになったグーテンベルク炭書、を付着させた紐状の複雑なnodeを、蜜蠟の母型に、沈める。 |
6/舟形のBOOK-END 石棺Chernobylと水棺Fukushima
•石棺Chernobyl:石灰、蜜蠟、炭書、麻縄、岩絵の具ほか
•水棺Fukushima:アクリル、炭書、麻縄、岩絵の具、ホウ酸、精製水ほか
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7/蜜蜂の巣枠に埋め込まれた遺伝子の舟である「ダブリンの朝(あした)」、「ダブリンの午後」
•ダブリンの朝:養蜂用巣枠、本「ユリシーズ/上」、麻縄、蜜蠟、杉板古材ほか
•ダブリンの午後:養蜂用巣枠、本「ユリシーズ/下」、麻縄、蜜蠟、杉板古材ほか 養蜂も蓜島の、現在は中断しているが、もう一つの夢見の仕事。その作業の中から使用済みの巣枠を作品に。パリ、ルクサンブール公園の養蜂学校で開かれる、蜜蜂をテーマにした美術展のために作り続けている蜜蜂シリーズの中から。 |
8/intelligent vessel である 遺伝子の舟である本である「夢見の刻」、「遡上」
•夢見の刻:バナナ紙、麻縄、蜜蠟、水干(絵の具)ほか
•遡上:バナナ紙、麻縄、蜜蠟、水干(絵の具)ほか
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