偶然の旅人

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絵はがきから

先週の土曜日、犬の散歩から家に戻ったところに、家内宛の宅配便が届きました。妻の「仕事」関係のゲラ刷りだったのですが、彼女がそれに同封されていたハガキを読んでいるあいだ、私はそばで床に新聞をひろげて読みはじめました。そのハガキには仕事上のメモが書かれているようだったのですが、絵ハガキなので、絵の側がこちらを向いていて、チラッと見た瞬間、「おやっ!」と思いました。どこか見覚えのある感じの絵で、セザンヌみたいだなと気づいたので、「ちょっと見せて」と、読みかけの妻からそのハガキを奪い取ったところ、なんと「サント=ヴィクトワール山」の絵ではないですか!


「つい先日(2日)、配島さんにトラヴェローグの会でお会いしたとき、サント=ヴィクトワール山をじっさいにセザンヌと同じ視点から見てみようと旅した美術仲間がいる、というお話をきいたばかりで、ぼくもどういう絵だったか確かめたいと考えてたところなんだよ」と、私もはじめて妻にその話をしたところ、「この宅配便を送ってくれた人とはもう20年来のおつきあいがあるけど、絵ハガキをもらったのは今回がはじめて。セザンヌの話なんてしたこともないし、なんて不思議なんだろう!」と、ついふたりで、いつになく、見つめあってしまいました。
トラヴェローグの会のメールにも、ぼくがいま連載中のバリの物語は、偶然性がテーマのひとつです、と書いたばかりでもありました。むかし見た好きな映画で、『偶然の旅人』というのがあったことも思い出しました。
なんでも大袈裟にとらえるのは私の好みではありませんが、やはり配島さんも私宛のメールでおっしゃっていた「小さな神秘」には、とても惹かれるものがあります。不思議=驚きとは、なにげない小さなことに宿っているようで、そういうことに気が付く感性(センス・オブ・ワンダー)を大事にしたいと、いまさらながらに思いました。


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